「踊り」と「ダンス」の違いってなんでしょう?

呼吸法を一律にし、ゆったりとした心のまま体を動かすのが「踊り」?

激しいリズムに合わせ、高揚感と共に体を動かすのが「ダンス」?

ですが、太鼓でドドンガドン、笛でピーヒャララという激しいリズムに合わせて体を動かす「盆踊り」もありますし、互いの息と心を合わせ、ゆったりと優雅に円弧を描くワルツを「社交ダンス」と言いますし。

こんがらがったところで、ちょっと両者の違いを見ていきましょう。

踊り ダンス 違い

踊りは和風?ダンスは洋風?

「踊り」と聞いて、何を連想しますか?

盆踊り?

日本舞踊?

それとも舞(まい)?

「ダンス」と聞けば、社交ダンスやバレエやジャズダンス、ヒップホップやブレイクダンス…おっと忘れちゃならないフォークダンス。

和風と洋風…どうやらこの辺の違いらしいですね。

両者をもう少し細かく掘り下げていきましょう。

踊りについて

高天原を統治されていた天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、弟神(おとうとがみ)である須佐之男命(すさのおのみこと)の傍若無人な行いに苦しみ、天岩戸(あまのいわと)にお隠れになってしまいました。

その瞬間、全ては闇に覆われたのです。

困り果てた神々は天岩戸の前で宴会を開き、わざと楽しげに騒ぎ始めました。

胸も露わにした天宇受売命(あまのうずめのみこと)が伏せた桶の上に乗って、それを踏み鳴らして、大きな音を響かせて魅力たっぷりに踊りまくると、神々は大喜びで笑い、騒ぎました。

それを不審に思った天照大御神がちょっと天岩戸を開けたところ、天手力男神(あめのたぢからおのかみ)が天照大御神を引っ張り出し、世界に再び光が戻りました。

神事の際に頭に挿す枝葉や花を「うず」と言います。

天宇受売命(あまのうずめのみこと)の「うずめ」は「うずを挿した女」を指し、巫女だと解釈されます。

伏せた桶の上に乗り、大音響で踏み鳴らしつつ半裸で踊り狂ううち、トランス状態(恍惚状態)に入り、そこで得る「人知では図り得ない力」をもって、肉体や魂の治癒や救済を求めたのです。

実際のところ、「踊り」の起源ははっきりしていませんが、神話の時代にその一端を垣間見ることができるのです。

「踊り」とは、リズムに合わせた跳躍運動(跳んだり跳ねたりの上下運動)を主体としたもので、分類的には日本舞踊の中に含まれています。

足扁が付いていることからわかるように、足の動きを重視しており、「踊る」は、足を持ち上げて踊ることを意味しています。

明治以前は「舞(まい)」と明確な区別付けがなされており、専門的な技能を要する人々のみが演じる「舞」に対し、技能を持たぬ普通の人々が喜怒哀楽を体で表現する手法として編み出されたのが「踊り」だと言われています。

集団トランス状態と言えるものに「踊念仏」が挙げられます。

「舞」のような特殊な舞台は必要なく、この世の苦しみから逃れたい民衆が集まって、南無阿弥陀仏の六字を皆で節をつけて詠唱し、ただひたすらに踊りまくり、三昧の境地に入ることで(トランス状態)、魂の救済を求めるのです。

それが派生し、「盆踊り」という踊りになりました。

お盆に皆で踊って、一年に一度戻ってくる祖先の霊を迎え、再び送り返す行事です。

こうして見てくると、日本古来の「踊り」は集団的で熱狂的で、宗教的な意味合いを基盤としていることがわかります。

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ダンスについて

Danceという単語には以下のような意味があります。

  • 踊る、ダンスをする
  • 跳ね回る、小躍りする
  • 木の葉などが舞う、揺れる
  • 心臓などが鼓動する
  • 人を踊らせる
  • 赤ちゃんを上下に揺すってあやす

ダンスもまた、日本古来の「踊り」と同じく、太古よりシャーマン(神の言葉を伝える者)が行ってきた一連の動作が由来になったと考えられます。

神々への礼拝だけではなく、祝い事や呪術的な意味で行われたり、特に狩猟民族は戦闘に赴く自分たちを鼓舞する目的でダンスすることもあったでしょう。

そうしたダンスが長い年月を経て舞台芸術としての特質を持ち、現代の娯楽や社交やスポーツに活かされているのです。

ダンスの種類には以下のようなものが挙げられます。

 

  • フォークダンス
  • コサックダンス
  • アイリッシュ・ダンス
  • フラメンコ
  • フラダンス
  • ボールルームダンス
  • バレエ
  • ベリーダンス
  • ヒップポップ
  • ジャズダンス
  • ブレイクダンス

特殊で高度な技術が必要不可欠なダンスもあり、結婚式などでちょっと気軽にできるダンスもあります。

また、これは人間の例ではないですが……

野生動物の求愛行動に、一定の規則性を持った動きを相手に見せることがあります。

これを「求愛のダンス」と言ったりもします。

まとめ

「踊り」も「ダンス」も、太古の巫女やシャーマンの動きが発端となり、それが発展しながら伝承されてきたものであり、決定的な違いはないと考えられます。

「踊り」と言えば和風なイメージに、「ダンス」と言えば西洋風のイメージに捉えられます。

ちなみに……

「盆踊り」的な「ダンス」として流行したのが、1980年代後半に流行った「パラパラ」です。

上半身の簡単な手や腕の一定の動きと、下半身の左右移動(2ステップ)を組み合わせたダンスで、主にクラブで踊られていました。

アニメ「名探偵コナン」で、コナンがオープニングでパラパラダンスを踊る姿も話題となりました。

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