冬の防寒対策として、「セーターを着る」と答える方が多いのではないでしょうか。
その際、「ほら。これ、カシミヤで高かったのぉ。ね、手触りからしてウールとは違うでしょ!」などという会話が交わされる……かどうかはわかりませんが、一般的にウールよりカシミヤの方が珍重されているのは確かですよね。
ウールとカシミヤ。
両者を比べ、その違いを見ていきましょう。
動物繊維から織った物に、ウールとカシミヤがある
人間は毛皮を着ていないため、冬の寒さは堪えます。
そこで、動物達の毛を刈って、セーターなどに加工し、寒さを防ぐ技を編み出しました。
動物の毛から糸を作り、それを織って加工するものには「ウール」、「カシミヤ」、アルパカ、アンゴラなどがあります。
ウールについて
ウールは、羊毛のことです。
羊毛で毛糸を作り、それで織って作った布製品のこともウールと呼びます。
また、ウール製品と言って一括りにした場合、羊毛だけではなく、アルパカやアンゴラなどの毛から加工した布製品も含まれることがあります。
羊毛の主な成分はケラチン(タンパク質の一種)で、毛質や繊維の細さにより、ランクづけされます。
機器を使って拡大して見てみると、羊毛の表面が人間の髪の毛のキューティクルのような鱗状のもので覆われているのがよくわかります。
世界中で飼育されている約11万頭ほどの羊の中で、ウール製品に使われる代表格として、オーストラリアのメリノ種が挙げられます。
平均4.55kgの羊毛が、一頭当たり取れるとされています。
ウールの長所には次のような点が挙げられます。
- 保湿性と保温性の高さ
- 型崩れしにくく、皺になりにくい
- すぐれた伸縮性
- すぐれた撥水力のため、汚れがつきにくい
- 染色性が良く、色落ちもしにくい
ウールの短所には次のようなものがあります。
- 洗うと縮みやすい
- 毛玉になりやすい
- 虫害を受けやすい
- 摩擦によって摩耗しやすい
- 直射日光で変色する
- 直かに着たり、首回りの皮膚に触るとチクチクする
カシミヤについて
カシミヤは、カシミヤ山羊の毛のことです。
カシミヤ山羊の毛で織った製品のこともカシミヤと呼びます。
インド北西部からパキスタン北東部に広がる地方をカシミール(Kashmir)といい、ここで生息しているカシミヤ山羊からとった良質な毛を紡ぎ、できたカシミヤ糸から織った高級毛織物製品がカシミヤです。
セーターやマフラー、帽子や手袋やコート、スカーフなどに製品化されます。
- カシミヤヤギ
カシミヤヤギは寒暖の厳しい環境下で生育しています。
体形は乳用ヤギに似ていますが、体毛の表面は粗い毛で覆われ、その内側は密な柔らかい毛が生えて体を覆い、零下30℃にまでなる冬の極寒から身を守っているのです。
毛の色は、白、黄、褐色、黒などです。
生え変わりの時期を狙い、カシミヤヤギの体毛の柔らかな方の毛を集めてカシミヤ製品を作ります。
一頭のカシミヤ山羊から取れる毛は約150g~200g。
希少価値があり、高価です。
毛の色や産地や毛の細さなどによってランク付けされており、価格も、高いものは低いものの3倍もするそうです。
セーター一枚分で、カシミヤヤギ四頭分の毛が要ります。
「繊維の宝石」と呼ばれています。
カシミヤの長所には次のような点が挙げられます。
- 肌触りがよい
- 織物にしても柔軟であり、独特の光沢感が美しい
- 優れた保温性と保湿性
- 密度が高い細い毛で織られており、軽い
カシミヤの短所には次のようなものがあります。
- 生産量が少ない
- 毛羽立ちや毛玉、毛羽が消失しやすい
- ヘビーローテーションには不向き
- 100%のカシミヤ製品は高価
- 高価であるがために、羊毛(ウール)や化学繊維と混紡された製品も多い
まとめ
「ウールは羊毛でできており、カシミヤはカシミヤ山羊からできている」という違いがわかりました。
ウールより肌触りが良く、軽くて暖かいカシミヤですが、手入れを怠ったり、毎日着たりすれば早く消耗してしまいます。
一方のウールは汚れもつきにくく、気軽に羽織って外出できますが、気になる方は、着ている間中、ちょっとチクチク感に悩まされる。
いずれにしろ、両者とも防寒対策に役立つということに間違いはありません。
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