「謹んで」と「慎んで」。
どちらも「つつしんで」と読む言葉ですが、使い方に違いはあるのでしょうか?
「つつしんでお悔やみ申し上げます」の場合と「私語をつつしんでください」の場合では、どちらの「つつしんで」を使えばいいのか分かりません。
というわけで、今回は「謹んで」と「慎んで」の違いについて見ていくことにしましょう。
謹んでと慎んでの違いについて
謹んでの意味とは
まず、「謹んで」を辞書で調べると「〔つつしみて〕の変化。相手の気持ちや立場を十分に尊重し、ひたすらそれに応じる用意が有る、という気持ちを表す。」という意味となっています。
「謹んで承る」や「謹んで祝意を述べる」、「謹んで御慶び申し上げます」等、使われる場面から想像すると「かしこまる」という意味合いが強い言葉のようです。
慎んでの意味とは
次に、「慎んで」を辞書で調べると「相手に対して深く敬意を表わす。」という意味となっています。
もともと「慎む」という形では、「お酒を慎む」、「言動を慎む」等「相手に失礼のないように行動や言動を抑制する・控える・自らを戒める」意味を持ちます。
しかし「慎んで」という形になると「相手に対する敬意」の意味合いも持つようです。
ただ、一般的に「慎んで」は、「くれぐれも軽率な行動や言動は慎んでください。」「今回の言動は非常に反省しております。今後は言葉を慎んで参りたいと存じます。」等、行動や言動を抑制する場合に使われることが多いようです。
つまり、「謹んで」は相手の気持ちや立場を尊重してかしこまる場合に使われ、「慎んで」は相手に失礼のないように行動や言動を抑制する場合に使われる言葉だといえます。
それゆえ、冒頭の「つつしんでお悔やみ申し上げます」の場合は「謹んで」を使い、「私語をつつしんでください」の場合は「慎んで」を使うのが正しいといえます。
つつましいとつましい
ここまで「謹んで」と「慎んで」の違いを見てきました。
ところで、「慎んで」は「慎む」という動詞の副詞ですが、「慎む」が形容詞になると「慎ましい」という言葉になります。
形容詞になると動詞・副詞の時とは意味が少し変わり、「遠慮深い」や「礼儀正しく、しとやかだ」の意味になります。
よく「慎ましい暮らし」、「慎ましい食事」等のように使われていますよね。
ただ似たような言葉で、「つましい暮らし」「つましい食事」等とも聞くことはないでしょうか?
その場合は「慎ましい」ではなく、「倹しい」という言葉が充てられ、「質素・倹約につとめる様子。」の意味合いを持つ言葉となります。
最近では「つましい」と「つつましい」が誤って使われることが増えているため、同じ意味として捉えられる場合もあるようです。
しかし、厳密には「つつましい」と「つましい」では意味が違いますので、使う際には注意が必要となります。
まとめ
今回は謹んでと慎んでの違いについてご紹介しました。
「謹んで」は相手の気持ちや立場を尊重してかしこまる場合に使われ、「慎んで」は相手に失礼のないように行動や言動を抑制する場合に使われます。
適切に使わないと相手に失礼になってしまいますので、表記する際は気を付けて使うようにしましょう。
今回は以上になります。
ご参考になれば幸いです!
今のあなたにおすすめの記事