「離す」と「放す」。
どちらも似た言葉のように思えますが、「離す」は「離れ離れ」という言葉のように物理的に離れた状態をイメージできます。
一方、「放す」は「手放す」や「放し飼い」という言葉にもあるように、解放されるイメージがあります。
とはいえ、両者の違いを明確には分かりません。
というわけで、今回は「離す」と「放す」の違いについて見ていくことにしましょう。
離すと放すの違いについて
離すとは
まず、「離す」を辞書で調べると「結んであったり、縛ってあったり、くっついていたり、とじてあったりする物を別々にする。一部では『放す』と書く場合もある。」意味と、「その物との間に隔たりを置く。」という意味があるとされています。
どちらの意味にしても、「物体と物体を物理的に遠ざける」意味合いが強い言葉のようです。
放すとは
次に、「放す」を辞書で調べると「握ったりつかんでいたりするのをやめる。」意味と「捕まえてた動物・捕虜などを自由の身にする。」という意味、そして「(料理)で汁などに入れて、散らばらせる。」という意味、さらに「そのまま放っておく」という意味もあります。
意味が多くあるように思えますが、要は「自由にする」意味合いが強い言葉といえます。
つまり、大きく言えば「離す」は物体と物体を物理的に遠ざけることを指し、「放す」は物体を自由(の身)にすることを指す言葉だといえるでしょう。
区別できない場合は、物理的に遠ざける意味合いが強ければ「離す」を使い、自由(の身)にする意味合いが強ければ「放す」とすれば良いでしょう。
この場合はどちらの「はなす」?
「離す」と「放す」の違いを見てきましたが、それでは何点か例を挙げて、どちらの「はなす」を使う方が適切かを見ていくことにしましょう。
まず、「ボタンをはなす」という場合ですが、この場合は物理的に距離を遠ざける意味合いが強いので「離す」を使います。
次に、「つないでいた犬をはなした」という場合は、自由(の身)にする意味合いが強いので「放す」を使うことになります。
それでは最後に「手をはなした」という場合を見ていきますが、この場合は物理的な距離を遠ざける意味合いが強ければ「離す」になりますが、自由(の身)にする意味合いが強ければ「放す」となります。
このような場合は前後の意味合いから考えて、適切な「はなす」を使うようにしましょう。
まとめ
今回は離すと放すの違いについてご紹介しました。
「離す」は物体と物体を物理的に遠ざけることを指し、「放す」は物体を自由(の身)にすることを指すといえます。
どちらの言葉も使えそうな微妙な場合は、前後の意味合いから判断しましょう。
今回は以上になります。
ご参考になれば幸いです。
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離すと放すの意味はおっしゃる通りですが、これがボタンとなるとネット上では間違った主張が多いようで。
ボタンの場合は、以下のように3パターンのシチュエーションがあります。
1. ボタンを放す = ボタンが押された状態を解放するという意味。
2. (ボタンから)手を離す = 手とボタンとの物理的距離をとる意味で、手を移動して物理的距離をとること。(ボタンは押されたままでも解放された場合でもOK)
3. (手から)ボタンを離す = 手とボタンとの物理的距離をとる意味で、ボタンを移動して物理的距離をとること。(ボタンは押されたままで解放された場合でもOK)
3.の「ボタンを離す」とは、手は動かさずボタンを移動させて物理的距離をとることになるので、ほとんどこのケースは無いので、「ボタンを離す」という表現は適正ではない。
細かく言うと、「手を離してボタンを放す」が正しい表現で、目的語が「ボタン」なら「放す」、目的語が「手」なら離すが適正表現ということになる。
ただ多くの人がこれらを混同して、さらに「放す」と「離す」の辞書的意味だけで判断してしまっているため、「ボタンを離す」が正しいと誤解していると思われる。
ちなみに技術屋さんは、制御/機構的見地から「ボタンを放す」と表現しますね。