ウィスキーとブランデーを、ラベルも何もないグラスに注ぐと、パッと見ただけではどちらがどちらかわかりません。
香りと味もアルコールのきつさが目立って、慣れていないとわかりにくいです。
よく似ている二つのお酒は兄弟のようでいて、全くの他人です。
その違いはと言うと…
どちらも蒸留酒の仲間だけれど原料と飲み方に違いがある
原料が発酵してアルコールが発生し、それを熱して発生した気体を冷やして液体に戻してアルコール成分をギュッと凝縮したものが蒸留酒になります。
ざっくり言うと、ビールを蒸留したものがウィスキーで、ワインを蒸留したものがブランデーです。
ウィスキーは穀物
ウィスキーの方は「ウヰスキー」という名で麦の穂を持ったヒゲおじさんの絵を知っている方が多いのではないでしょうか?
この絵から想像できるように、原料は大麦やトウモロコシなどという穀物を使っています。
それらを発芽させた麦芽(ばくが)という状態にするとデンプンを糖化する働きを持つ酵素が発生します。
ここまではビールの製法とほとんど同じです。
発酵させてできたアルコール度数7~8%の液体を複数回蒸留させ、60~70%まで度数を高めたニューポットと呼ばれる無色透明な液体にします。
これを木製の樽に入れて数年以上熟成させると、芳香な風味を持った濃い琥珀色のウィスキー原液になります。
最後にいくつかの種類の原液を配合させ、水で40~60%まで度数を抑えて、私達が知る「ウィスキー」という商品になります。
ちなみに、とあるメーカーのものは何故「ウヰスキー」という名なのかというと、その昔、商標登録の際に、水が命のウィスキーのために井戸の「井」を入れたかったのですが、当時はカタカナと漢字を混ぜることが認められず、仕方なく英語のウィスキーの発音に近い「ヰ」にしたのだそうです。
ヒゲおじさん…いいえ、ナイスなおヒゲの紳士は、キング・オブ・ブレンダーズ、日本語で「ブレンドの王様」と呼ばれたウィスキーブレンド名人、ウィリアム・P・ローリー(William Phaup Lowrie)がウィスキーのテイスティングをしている姿を描いたものです。
19世紀、ウィスキー好きな人々から「ローリー卿」と親しまれたイギリスの貴族で、いくつものウィスキーの香りを効き分けたのだそうです。
ブランデーは果物
果実酒を蒸留したものを総称して「ブランデー」と呼びます。
白ワインを元にしたものが主流ですが、リンゴやサクランボなどから作ることもあります。
ワインを熱して蒸留する過程から、ノルウェー語で「焼いたワイン」を意味する「ブランデウィン(brandeviin)」という名前が生まれ、いくつかの国を渡り歩くうちに変化して今日の「ブランデー(brandy)」になりました。
ワインのアルコール度数は6~20%ですが、それを凝縮したブランデーは40~50%と格段に度数が上がっています。
蒸留してできた原液はウィスキーと同じように樽に入れて数年~数十年以上熟成させて「ブランデー」が出来上がります。
飲み方の違い
ウィスキーの飲み方の一つで一般的に広く知られているのは、炭酸水で割ったハイボールですね。
ジンジャーエールで割ったジンジャーハイボールと、コーラで割ったコークハイも知られるようになってきました。
もちろん、そのままでも楽しめるストレートという飲み方もあります。
ですが、なれていないと少々きついので水割り、氷を入れたオン・ザ・ロック、ウーロン茶割、お湯割りという形で飲まれることが日本では多いです。
オン・ザ・ロックは氷が溶けることによる味の変化を楽しめます。
ウーロン茶を混ぜると甘みが際立って飲みやすくなるのでお勧めです。
お湯で割るホットウィスキーは寒い時期にピッタリと言えます。
ブランデーは常温のストレートで飲むのが一番お勧めです。
ウィスキーより度数が高めで、きついことはきついのですが、良い香りと味をゆっくり楽しめるのです。
飲み込んだら、口を閉じたまま鼻から息を出してみてください。濃くて豊かな香りが広がります。
ストレートだときつくて飲めないけれど、どうしても飲みたい方にはブランデースピリッツァーという飲み方がお勧めです。
ブランデースピリッツァーは、ブランデーに好みの果物を入れて一晩漬け置きして、好みで炭酸水や紅茶などで割ります。フルーティーで優しい口当たりになります。
ストレートの状態に紅茶を足すのも一つの楽しみ方と言えます。レモンティーのようにして飲むのも良いでしょう。
まとめ
ウィスキーの元がビールと一緒の穀物で、ブランデーの元がワインと一緒の果物と覚えておくと良いでしょう。
ビールの蒸留酒がウィスキー、ワインの蒸留酒がブランデーと覚えるのも良いですね。
楽しみ方もそれぞれありますが、まずはストレートでじっくり比べてみるのはいかがでしょうか?
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