日本語にある単語の中には、同じ読み方で、しかも意味が似通っている単語が多く見られます。
いずれも「かえる」と発音しますが、私たちは日常生活を送る中で使い分けを行っています。
では、いったいどんな違いがあるか、それについて今回は話していきたいと思います。
3つの「かえる」!「返る」、「帰る」、「還る」について
文章を書く際に、特に注意したいのが同音異義語、読みは同じでもニュアンスが異なることがあるからです。
そこで、その代表例として上の3つを取り上げ、使用状況からコアな意味を考えていきたいと思います。
返るが意味することは?
どんな文脈で使われることが多いのかを確認してみることにしましょう。
友達に貸していたCDが手元に返る、借りていた本を友達に返す、のような文脈で使用されます。
ですから、「返る」という言葉には、持ち主のもとへ貸していた物(本、服など)が戻るといった意味があります。
もう少し、視野を広げて詳しく考察してみます。
二者間、あるいはそれ以上の関係性の中で一時的に持ち主の手を離れていたものが、元の帰属へ戻ることを表しています。
正気に返る、我に返るは、元の正常な状態へ戻ることを意味しています。
帰るの意味は?
今日は遅くならずに帰ります、いつ頃こっちに帰ってきたの、などという形で普段の会話にも登場します。
ただし、営業先から会社へ連絡を入れる場合は、「帰ります」は使わずに、「戻ります」が用いられます。
これらのことから、「帰る」という言葉の中心的な意味を考えました。
「帰る」は、自分の所属意識の強い場所、例えば、自宅、故郷などに戻る際に使われる表現です。
もっと簡潔に説明すると、自分の愛着のあるところへ他の場所から戻る時に使用される言葉です。
還るが示す意味は?
ここに挙げた3つの言葉の中で、「還る」は最も使用が次の例に見るように限定されてくると思います。
祖国へ還る、土に還る、ランナーがホームへ還るなど特殊な状況下でしか用いられない表現です。
上の例は、色んな地点を経由する、様々な過程を経て土に分解される、ホームベースを回る、など共通項を取り出せます。
元の帰属へ戻ることを軸に据えながらも、1つのサイクルのある動きが関係しているように感じます。
元々あった状態へ、円環運動のような動きを経て戻る場合に、この表現が使われています。
まとめ
「かえる」と口にするだけでは伝わらない、細かいニュアンスがあることが改めて分かりました。
自分、あるいは他者の所有物が持ち主のところへ「返る」、自分の帰属意識の強いところへ「帰る」、
もとの状態へと様々な過程を経て「還る」といった使い分けがされています。
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