スーパーで肉を買うと、当たり前のようにただで貰える白い塊「牛脂」。
でも、ブランド牛の松阪牛牛脂140gほどを購入しようとすると、およそ540円(参考価格)にもなるんです。
牛脂があるなら豚脂もあります。
ですが、通常は豚脂とは呼ばずにラードと呼びます。
牛脂とラード、その違いは?使用する料理など
「牛脂」はヘットとも呼ばれ、牛の脂を主に食用目的で精製したものです。
また、精製しない牛の脂身自体を指して「牛脂」と呼ぶこともあります。
食用目的でない牛脂は、石鹸やろうそく、また軟膏などにも使われます。
「ラード」は豚の脂を食用目的で精製したものです。
中華料理専門店の料理……特に炒飯にはラードは欠かせない調味料です。
料理の旨味を引き立てる香ばしい香りが食欲をそそるのです。
牛脂もラードも動物からとれる脂ですから、「月(にくづき)へん」のついた漢字である「脂」を使います。
もともとの成り立ちが「肉」から来ており、これを簡略化した際に「肉」から「月」になったのです。
植物由来の油は「油」と書きますよね。
植物からつくられたものは、一般的に「ごくあっさり」とした油。
動物からつくられたものは、「こっくりとした旨味を持つ」脂。
体調や、個人の嗜好から使い分けると良いでしょう。
では、次からは、牛脂とラードの両者の違いを詳しく見ていきましょう。
牛脂について
牛脂は牛の脂肪組織から脂肪を融出させて作るもので、常温では白色または淡黄色の個体の形状をしています。
見た目はラードに似ています。
食用に用いられる他、石鹸、ろうそく、研磨剤、軟膏などの基剤としても使われます。
牛脂には、精製されたものと精製されていないものがあります。
スーパーなどでよく見かけるものは精製され、綺麗にカットされた牛脂です。
ミンチ状になっていたり、赤身も一緒に混ざっていたりするのが精製されていない牛脂(脂身そのもの)です。
精製された牛脂は、調理の際に全て溶けてしまいますが、精製されていない牛脂は全て溶けずに繊維が残ります。
味の違いから言うと、精製されていない牛脂の方がコクと旨味が際立つ、ということです。
それらの牛脂を料理によって使い分け、すき焼きや焼肉をする際に用いたり、カレーやカツレツ、細かく刻んでハンバーグの種に混ぜたりすることで旨味と風味が引き出されるのです。
野菜炒めや炒飯にも応用できます。
肉業界では、腎臓周りの牛脂のことを「ケンネ脂」と呼んでいます。
熱に溶けやすく(牛脂の融点は摂氏45~48度)、癖のない脂です。
入手困難の高級和牛の背脂を使って、焼きそばや野菜炒め、目玉焼きなどを作ればそれはもう絶品だそうです。
また、牛脂を使えば、「肉無しの肉じゃが」でも、牛肉の旨味が引き出され、十分美味しく出来上がるそうですよ。
ラードについて
ラードは豚の脂肪組織から脂肪を融出されて作る食用の豚脂のことで、常温では白色のクリーム状です。
調理の際に使うと、香ばしさと旨味を引き出すことができます。
中華料理店で多く用いられ、ラードしか使わない老舗料理店もあるそうです。
ラードは牛脂より融点が低く(融点は摂氏27~40度)、植物油に比べて酸化しにくいため、トンカツやコロッケ、炒飯、焼きそばなどに多用されます。
ラーメンの上にチャッチャッと振りかける背脂は、ラーメンに旨味を加えると共に、スープの表面上に浮かばせて覆うことにより、スープを冷めにくくします。
JAS(日本農林規格)は、「ラード」を二つに分類しており、
豚脂100%のものを「純製ラード」、牛脂やパーム油などを調合したものを「調製ラード」と規格化しています。
ラードに反映される豚の旨味は、ブランド豚の優劣により決定します。
九州の黒豚やスペインのイベリコ豚から作られるラードは、数あるラードの中でも高位に位置しています。
ラードをご飯に混ぜて食べる「ラードご飯」という家庭料理が、台湾や香港にはあるそうです。
卵かけご飯のような感覚なのでしょうか。
また、北欧などではバター感覚でパンにラードを塗って食べるそうです。
バターに比べ、変質しにくいことがその理由だそうです。
バードケーキ
冬は、野鳥にとっては餌の少ない厳しい季節。
牛脂やラードをバードケーキ(材料を混ぜて作る練り餌)に使うと、メジロやコゲラ、シジュウカラなどが飛んできて喜んでついばむそうです。
但し、牛脂やラードはカラスにとっても大好物。
設置した途端に引っさらわれてしまうことも覚悟の上で。
まとめ
牛脂とラードの違いを見てきました。
それぞれ炒飯や炒め物などに活用できますね。
牛脂かラード、どちらを使うかで迷ったら、メインの肉食材で判断するのもアリですし(すき焼きは牛肉を使うので牛脂。中華料理の回鍋肉は豚肉を使うのでラードといった風に)、またはざっくりと、
- 牛脂は鉄板焼き
- ラードは揚げ物、炒め物
と考えておいても良いです。
要はお好み次第で、ということですね。
牛脂かラードか……焼けば、臭いで判ります。
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