耐震はよく聞きますが、残りの二つはあまり耳にしたことがありません。
どれも一緒じゃないの?とまとめたくなってしまいますが、地震大国に住んでいる身としては違いをわかっておきたくありませんか?
ここは一つ、共に勉強して違いを学んでみましょう。
建物に施す形と考えから違いが生まれる
地震に対してどういう構造にするかで呼び方が変わってくるのです。
ざっくり言うと、揺れに耐えるための「耐震」、揺れを制御するための「制震」、揺れから免れる「免震」となります。
それぞれに利点と欠点があるので、それを交えて解説していきます。
我慢強い耐震
地震が起きても壊れない頑丈な壁にする、厚い壁にする、柱も太く頑丈な作りにする方法が「耐震」です。
また、柱と柱の間に建材を斜めに通す「筋(すじ)かい」という補強などをすることもあります。
人で例えるなら、どんな揺れでも鍛えた己の身一つのみで頑固に立ち続けるという構造です。
これは既にある建物に後付けすることが可能なのが特徴と言えます。
しかし、耐えるだけなので、揺れがそのまま家屋全体に伝わります。
家具に何らかの対策を施さなければ倒れたり落ちたりしますし、高さのある建物だと、上階になるにつれて揺れが大きくなります。
柔軟な制震
想像してみましょう。
腕を軽く伸ばして壁に触れられる程度の空間に立っているとします。
もしくは、伸縮性のある棒を両手に掴んでいるという状況でも良いでしょう。
立っている空間が左右に揺れた時、壁に当てた手はそのままで、できるだけ腕の力を抜きます。
棒の場合は、それを左右の壁に対して垂直に押し当てます。
すると自分の揺れがいくらか抑えられるはずです。
この腕や棒に当たる制御装置を設置するのが「制震」になります。
主にゴムかオイルを用いる「ダンパー」と呼ばれる伸縮性のある柔軟な構造を組み込むことによって揺れを吸収するのです。
耐震よりは揺れが少なく、繰り返しの地震に強いという特徴があります。
こちらも後付けは可能ですが、効果が十分に発揮されないことが多いため、一から建てる時に組み込むのが良いとされています。
どこ吹く風の免震
もう、建物と地面を完全に切り離してしまおうという考え方です。
現実ではそのようなことができないので、建物と地面の間に鋼球やすべる材質の板などを設置することによって、地震を建物に伝えない方法が使われています。
地震とは反対の揺れを発生させることで被害を起こらせない、または最小限にすることが可能です。
電車に立って乗っている時、揺れる方向に対して逆に体を揺らした経験はないでしょうか?
それに近いことをしてくれます。
ただ、これは横揺れに対して有効であって、縦揺れには弱いのが難点と言えます。
また、装置の費用が高いのと、建物自体を揺らせる程度の広い土地が必要ですし、水道などの他の設備も対応できるものにしなくてはいけません。
そして以上のように地面に設置することから、建物を一から建築する前にしか施工できません。
まとめ
耐震よりも制震が強く、最も安全と言えるのが免震ですが、規模と費用の問題から着手が難しいのが現状です。
そのため、免震でなくても少しでも安全にするために、耐震と制震を少しずつ組み合わせることによってお互いに補い合う構造も出てきています。
他の組み合わせも少なからずあります。
もし、新築予定であれば検討されてみてはいかがでしょうか?
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