太古の昔、およそ約6500万年前、恐竜たちが絶滅する少し前に人類が誕生したといわれています。
「空を飛びたい」
「背中に羽根が生えていたらなぁ……」
悠々と空を羽ばたいて飛んでいく翼竜の姿を見て、古代の人類はそんなことを思っていたかもしれません。
古来より、人類が空によせる憧憬は大きく、自らの体に羽根をつけたり、奇妙な発明品で崖から飛び降りたりと、さまざまな人々が「空を飛びたい」という一心のみで試行錯誤してきました。
そんな中、1903年に人類初の動力飛行に成功したのがライト兄弟です。
しかし、飛行は常に危険が伴う冒険そのものであり、或る程度の信頼を得て旅客機として利用されるようになったのは、第一次大戦後のことでした。
航空機は航空機。飛行機は航空機
今では普通に、
「明日、飛行機で地方出張なんだ」
などと会話に登場する飛行機ですが、
「明日、航空機で地方に出張するから」
とは、なかなか言いませんよね。
大袈裟な表現ですし、個人所有のジェット機か何かで表敬訪問するイメージも浮かびます。
口語表現では、飛行機と航空機の違いをなんとなく区別していても、航空機も飛行機も似たようなものだと考えがちで、二種類の違いを明確に意識している方は少ないのでは?
そこで、飛行機と航空機の違いについて考えてみました。
航空機は航空機
航空機の定義は「大気中を飛行する機器の総称」です。
更にその中で、「軽航空機」と「重航空機」の二種類に分けられます。
「軽航空機」とは、空気より軽いという意味で使われ、「重航空機」は空気より重いという意味合いで使われます。
代表的な軽航空機には、気球や飛行船があります。
悪い意味で有名になっている飛行船が、ドイツの硬式飛行船「ヒンデンブルク号」でしょう。
空気より比重の小さな気体である水素を気嚢に詰めることによって機体を浮揚させ、尾翼や舵面を動かして方向を変えて操舵します。
1937年に水素が引き金となる爆発炎上事故が発生したのを受け、飛行船に寄せられていた信頼性は文字通り、地に落ちてしまいました。
その後、航空輸送用途ではなく、広告宣伝用や観測用などとして飛行船は利用されています。
もちろん、気嚢に詰めるのは可燃性の水素ではなく、不燃性のヘリウムガスです。
重航空機には、グライダーやヘリコプターや「飛行機」などの例が挙げられます。
グライダーは動力を持たない重航空機、ヘリコプターは動力を持ち、かつ翼が回転する構造を持つ重航空機、「飛行機」は動力を持ち、かつ翼が固定されている重航空機です。
飛行機は航空機
大気中を飛行する機器の代表格にあたるものが飛行機なので、飛行機すなわち航空機、と混同しがちです。
ですが、前述にも述べました通り、「航空機の中の重航空機という分類の中の一つ」が「飛行機」という機器なのです。
こうして理解すれば、航空機と飛行機の違いは歴然ですね。
ちなみに、ドローンは無人航空機に分類されています。
豆知識あれこれ
「空間識失調」
映画やドラマで知っている方もいると思いますが、空間識失調という症状があります。
航空機のパイロットが飛行中に平衡感覚を失うことです。
自分の体が今、地面に対して水平なのか、それとも頭を下にして、ひっくり返ったまま操縦しているのか、或いは機首を上げて上昇中なのか、機首を下げたままどんどん下降しているのか……などの、あらゆる空間認識が狂ってしまう状態に陥ることです。
濃霧や夜間の飛行、地平線や水平線が見えずに飛行すると陥りやすいといわれます。
また、機体の姿勢や重力加速度の変化などでも起きると言われます。
航空事故の原因にもなり、例え、健康体のベテランパイロットであれど空間識失調状態に陥った時は、自分の感覚よりも航空計器の表示を信じることが推奨されています。
「エアフォースワン……だけではなく、ツーもある!」
大統領専用ジェット=エアフォースワンではありません。
専用機、戦闘機、輸送機などの航空機の種類は問わずに、アメリカ空軍の航空機にアメリカ大統領が搭乗すれば、その機は「エアフォースワン」と呼ばれます。
副大統領が搭乗すれば、その機は「エアフォースツー」と呼ばれます。
ちなみに、大統領が海兵隊機に搭乗すれば「マリーンワン」、陸軍機に搭乗すれば「 アーミーワン」、海軍機では「ネイビーワン」、民間機の場合では「エグゼクティブワン」と呼ばれるそうです。
あなたが搭乗した民間の飛行機に、もしアメリカ大統領が乗り合わせていたとしたら……それはすぐさま「エグゼクティブワン」と呼ばれるのです。
まとめ
飛行機と航空機の違いについて見てきました。
「航空機」は、大気中の飛行機器全般を言い、その中に含まれるのが「飛行機」なのですね。
航空技術の発達は目覚ましく、今に一般人でも気軽に宇宙の飛行が楽しめる航空機(飛行機)が開発されるかもしれませんね。
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