「上る」と「登る」と「昇る」は、全て「のぼる」と読む言葉です。
「上りエスカレーター」や「上り列車」など何か乗り物に使われる印象が強い「上る」。
「山に登る」、「階段を登る」など上に向かって歩いていく印象が強い「登る」。
「太陽が昇る」、「日が昇る」など何か物体が空中で上昇する印象が強い「昇る」。
使われる場面の違いは何となく分かっても、明確な意味の違いまでは分からないでしょう。
というわけで、今回は「上る」と「登る」と「昇る」の違いについてまとめてみました。
上る、登る、昇るの違いについて
まず、それぞれの辞書での意味について見ていきましょう。
「上る」を辞書で調べると「斜面に沿うなどして低い位置から高い位置へ向かって移動する。広義では川の下流から上流の方へ移ることや、昔地方から都へ行ったことも指す。」と記載されていました。
また、その意味の中で、山に関しては「登る」、朝日に関しては「昇る」と書く、という記述がありました。
一般的に広く使われているのは「上る」で、「階段を上る」、「坂道を上る」など、下から上へと一歩一歩足を運びながら上へと向かう意味があります。
また、「都に上る」、「上り列車」など、地方から中央へ向かう意味もあります。
そして「話題に上る」など取り上げられることを表す意味や、「食卓に上る」など高い所に物体を置くことを表す意味もあります。
さらには「百万人に上る」などある数量に達することを指す意味や、「頭に血が上る」などのぼせることや逆上を指す意味もあるのです。
こうして挙げると「上る」には、非常に多くの意味があることが分かります。
一方「登る」は、踏ん張って高い所へ進むことを表す意味であり、「山に登る」、「頂上まで登る」、「マウンドに登る」、「演壇に登る」のような使い方をされています。
また同時に、それぞれ「登山」、「登頂」、「登板」、「登壇」など熟語で表せるのが「登る」を使った表現の特徴ともいえるでしょう。
他方「昇る」は、「天に昇る」、「日が昇る」、「煙が昇る」など、基本的に空中に高くあがる意味があります。
それゆえ、「神殿に昇る」といった天を表すような場所にあがる場合や「地位が昇る」など高い地位に就く意味としても使われているようです。
また、「エレベーター・エスカレーターで昇る」のように、昇るは下から上へ移動する意味内での「降りる」の反対語としても使われ、機械を使って勢いよくあがるといった意味でも使われています。
つまり、「上る」は非常に多くの意味がありますが基本的に広く上方へ行くことを指し、「登る」は踏ん張って高い所へ進むことを指し、「昇る」は基本的に空中に高くあがることを指す言葉となります。
使い分け方は、「登る」はその言葉が熟語で表せるかどうかで判断し、「昇る」は空中に高く上がるものかどうかと、天や高い地位にあがるものかどうか、さらに機械を使って勢いよくあがるものかどうかで判断します。
そして、それらに該当しなければ「上る」もしくは「のぼる」と表記するのが良いでしょう。
階段をのぼるの場合
ちなみに、「階段をのぼる」は一般的に「階段を上る」と表記しますが、表現によっては「登る」や「昇る」を使うこともあります。
まず、急な階段をのぼったり赤ちゃんが階段をのぼる場合は、踏ん張って高い所へ進んだりよじ登ったりするニュアンスを表現するため、「階段を登る」と表記する方が伝わりやすくなります。
一方「天国への階段をのぼる」という場合は、天に昇ることを表すため、「天国への階段を昇る」と表記します。
こうした使い分けを特に意識しない場合では、一般的な「上る」を使うか、ひらがなで「のぼる」と表記しても問題ないとされています。
まとめ
今回は「上る」と「登る」と「昇る」の違いについてご紹介しました。
「上る」には非常に多くの意味がありますが基本的に上方へ行くことを指し、「登る」は踏ん張って高い所へ進むことを指し、「昇る」は基本的に空中に高くあがることを指す言葉となります。
3者の使い分けですが、「登る」は上記の意味と、その表現が熟語で表せるものかどうかで判断します。
また、「昇る」は空中に高く上がるものかどうかという点と、天や高い地位にあがるものかどうかという点、さらに機械を使って勢いよくあがるものかどうかという点で判断します。
そして、それらに該当しなければ「上る」もしくは「のぼる」と表記すれば良いでしょう。
今回は以上になります。
ご参考になれば幸いです。
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