「自営業なんだ」

「へええ…名物店主がいる八百屋さん、みたいな?」

「…いや。そういった個人事業主とは違い、一応は自営業なんだけど会社形態」

「???」

よくわからない会話です。

このように、交わされる会話の中では、自営業と個人事業主の違いは曖昧なもの。

ちょっと紐解いていきましょう。

自営業 個人事業主 違い

自営業には「個人」と「法人」の2つの形態がある。個人事業主はひとりきり

「自営業」とは、自らの力で事業を営んでいる人のことを指します。

「個人事業主」も、自分の力で事業を営んでいる人のことを指します。

あれ?

同じ……ではないのです。

法人を設立していても自営業ということがありますし、個人で経営していてももちろん自営業です。

ですが、個人事業主とは「会社を設立せずに個人で事業を営んでいる場合に限り呼べる」呼称なのです。

「自営業」という呼び方は、会話の流れで自然に口をついて出るように、一般的な通り名として定着しています。

口語では「自営業」であっても、法人として設立した場合は、税法上では会社経営者に分類づけられます。

一方の「個人事業主」という呼び方は、税法上で使用されている法的な呼称です。

「個人事業主」を含めた総称としての呼び名が「自営業」というわけです。

つまり、

「個人事業主=自営業だが、自営業=個人事業主ではない」ということですね。

数式で表すとこんな感じ。

個人事業主<自営業。

「個人事業主は、自営業という一括りの業種分類の中に含まれている」ということですね。

口語では混同されがちですし、大差はないかもしれません。

ですが、「法人設立の自営業」であるのか「個人経営の自営業(個人事業主)」であるのかは、いざ納税手続きをするときに重要になってきます。

「個人事業主」は、稼ぎも負債も全てが自己責任です。

儲かっているときの収入は青天井でウハウハですが、いざ負債に転じ、借金でも抱えれば全てを自己負担でまかなわなければなりません。頼れるのは自分だけ、なのです。

各々、もう少し見ていきましょう。

自営業について

「個人事業主」よりも広い定義で使われているのが「自営業」です。

自営業だからとはいえ、全てが個人事業主ではないことは、先ほど述べた通りです。

最近は、会社設立も昔に比べれば至って簡単です。

ふとしたきっかけで、自分が会社を設立して社長となっても、主に自分自身が事業に身を投じ、日々営んでいる形態なのであれば、それは自営業として分類されます。

また、会社形態をとらず、全くの個人で業務をやりくりしていても、それも自営業と分類されます。

「自営業」は、個人法人の有無を問わずに使える呼称なのです。

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個人事業主について

「個人事業主」と呼べるのは、会社を設立せず、一個人の立場で事業を営んでいる場合のみ、ということは先ほどお話ししました。

同じ事業内容で同じような規模であっても、会社組織形態をとっていれば会社社長ですし、そうでなければ「個人事業主」です。

「個人事業主」<「自営業」といった感じで、「自営業」に含まれている「個人事業主」ですが、メリットとデメリットについて少し触れましょう。

【メリット】

  • 仕事に関係する出費は全て経費として処理できる。事務費、通信費、交通費など。
  • 自分の好きな時間に業務ができる。
  • 人間関係に必要以上に悩まされずに済む。
  • 好きな仕事を選べば、人生を謳歌できる。

【デメリット】

  • 孤独。
  • とにかく、やるべき処理や業務が多い。営業、経理、備品の購入など。
  • 不安定な収入。潤沢期と閑散期の差が大きい。
  • 病気になったときに保険面で不安。

まとめ

口語では一緒にされがちな「自営業」と「個人事業主」ですが、税法上では明確に違いを分けられます。

納税手続き処理において、税率や課税対象、認めてもらえる経費などに大きな違いが出てきます。

加入できる保険も限られます。

たとえば、労働者を守る目的で施行されている保険…失業時の雇用保険や、通勤・勤務中の怪我等が対象である労災保険には入れません。

なぜなら、自営業者や個人事業主は、労働者を雇う側の立場にあるからです。

また、法人形態の「自営業」ならば、会社員と同じく国民年金+厚生年金に加入できますが、「個人事業主」では国民年金加入だけです。

国民年金加入だけでは…と思う「個人事業主」は、国民年金基金や小規模企業共済などに加入し、その不安を補うことができます。

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